論文がEJTにアクセプトされました。カンボジアとボルネオで見つかった種が非常に変わっていて、明らかに未記載種でありました。いわゆるuniqueだとかremarkableとかいうやつです。


しかし、それを記載するだけではつまらないので、独特な形態をもつ種をいかに体系化するか?という分類学一般に通じるようなトピックに持っていきました。固有派生形質だけではどの種に近いとか、どの種群に含まれるかなどはわからない。一方で共有派生形質は不明瞭でなんともいえない。やっぱり分子系統解析で系統的位置を決めました。異なった基準で見るために、最節約法、最尤法、ベイズ法のそれぞれで比較しました。その後の形態的評価も行い、潜在的な共有派生形質を論じるとともに、形質の獲得と消失について最節約的な解釈を交えました。さらに分岐年代推定を行い、共通祖先が中新世の約1500万年前に分かれ、東洋区からインド・オーストラリア区への分散が連続的に起こっていることを明らかにしました。


たった2種の記載ですが、なるべく彼らの正体を明らかにしようと思い、いろいろ余計なことをしました。


ここでは最尤法はGarliを用いて、モデル選択はPartitionFinderでやりました。Tracerで収斂を確認しました。分岐年代推定はmcmctreeでやってみました。とにかくいろいろ試してみました。マムンへの指導のためでもあります。疲れた・・・。これと現在書いている論文はその次の本命の布石であります。


Hosoishi, S. and Ogata, K. Phylogenetic analysis and systematic position of two new species of the ant genus Crematogaster (Hymenoptera: Formicidae) from Southeast Asia. European Journal of Taxonomy (accepted).